自然豊かな日本で進むエネルギーシフトの最先端

環境変化の脅威を背景に、世界中で試験的なエネルギーシフトの取り組みが始まっていますが、もちろん日本にも先進的な取り組みが数多くあります。日本は自国での資源自給率が低く、燃料を外国からの輸入に頼らざるを得ないため、エネルギー市場の不安定や国家間の情勢に翻弄されやすい存在です。そんな日本にとって、エネルギーの自給自足を実現するためのシフトは急務と言えます。

資源はない、しかし自然はある!日本の知恵

熊本県・阿蘇外輪山の麓にある再春館製薬所の工場「再春館ヒルトップ薬彩工園」は、その屋根と壁面に5,628枚もの太陽光発電パネルが設置されています。太陽光発電パネルによる年間発電電力は約87万kWhで、これは工場で使用される年間電気使用量の22%に相当します。

太陽光発電だけではありません。フェリス女学院では2005年、同校に馴染みのある赤い風車にちなんだ風力発電用の風車が同校緑園キャンパスに設置され、エコキャンパスのシンボルとなっています。

またユニークな取り組みとしては、京都市内でタクシー業を展開するエコロ二十一は、全車両(20台)の屋根に風力発電機付き行灯を設置し、走行時の風を利用して発電した電気で、乗客の携帯電話への充電を行っています。現在では「プロペラタクシー」などのニックネームで市民に広く親しまれているそうです。

雪が降る地域では、雪氷熱利用も盛んです。北海道に位置するJAびばい「雪蔵工房」は、国内最大となる3,600tの貯雪量を誇る玄米貯蔵施設。全空気式雪冷房により庫内を温度5℃、湿度70%の低温環境とし、常に新米の食味を提供しています。運転停止や温度調整も可能で、消費電力は従来に比べ1/2以下となっているそうです。

自然と最先端テクノロジーのかけ算で賢い街づくり

前回ご紹介した、スマートグリッド関連の取り組みも盛んです。福岡県北九州市にある全世帯太陽光発電付賃貸マンション「ニューガイア」シリーズは、日本で初めてすべての入居者が電力会社と太陽光発電で生じた余剰電力の需給契約を交わし、売電などの恩恵を受けられるシステムを導入しています。月平均の電気代は2,000円程度で、収支がプラスになる月もあるそうです。

東日本大震災で被害を受けた被災地を起点にスマートグリッド化を推し進めようとする動きもあります。宮城県石巻市にある鹿妻小学校では、この冬試験的に蓄電池と太陽光パネルが設置されます。停電しても3日間は最小限の電力が供給可能な防災拠点を想定し、体育館をはじめ対策本部が設けられる職員室などの照明をLED化。携帯電話の充電やパソコンの電源用に非常用コンセントも取り付けるなど、いわゆる「スマートスクール」をつくろうという構想です。

日本各地でエネルギーシフトの取り組みが進行中です。次回は、私たち個人や家族単位でも参加できる、エネルギーシフトの方法をご紹介します。

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