環境・家計・コミュニティ、みんなが嬉しい次世代の「スマートシティ」
“限りある資源を大切にしよう!”と言われて普段ピンと来なくても、2011年に起こった震災以降、資源を身近な問題として受け止めるようになったひとも少なくないのでは?真夏と真冬の電力不足を補うための節電、東京電力による電気料金の値上げなど、私たちの生活への負担が大きくなればなるほど、私たちが限りある資源に頼って暮らしていることを、身を持って感じさせられます。

そんな私たちに重くのしかかる負担を根っこから解決しようというコンセプトがいま注目を集めています。それが「スマートシティ」です。“スマート”という言葉は、“賢い”“高性能”といったイメージを思い起こさせます。それでは、スマート“シティ”とはどんな都市のことを指すのでしょうか?

クルマ、診療情報… “シェア”で無駄のない都市づくり

スマートシティの定義はさまざまですが、一般的には「新しい技術を使って、生活の基盤を効率化・高度化した都市や地域」を指します。ここでいう“生活の基盤”とは、交通、医療、環境・エネルギー分野など広範囲にわたります。すでに行われている取り組みの紹介を通じて、スマートシティのイメージをふくらませてみましょう。

例えば、パリでは電気自動車(EV)による乗り捨て型カーシェアリング「オートリブ」が展開されています。約2000台のクルマを約700あるステーションで使い回し、中央にある管理センターはクルマの充電状況や位置情報を常に監視しています。現在4万人近くの会員が登録、ウェブを通じて利用しています。これによって、クルマにはたまに乗るけど、自分で買うほど必要ではないひとが、クルマや燃料を上手に使えるようになりました。

埼玉県の「地域医療ネットワークシステム」は、地域の病院と中央の病院で患者さんの診療情報を共有しています。患者さんは「かかりつけ医カード」とうい自分専用の診察券を携帯することで、提携している病院ならどこでも、過去の診療情報を引き出したり、新しく登録することが可能です。大規模な自然災害が発生し、街中の病院が満杯状態にあるような万が一のときでも、このシステムを使えば患者さんの診察や治療を効率的に進めることができます。

個人や家族単位で参加できる“スマートシティ”化

ここまでは地域単位での取り組みをご紹介しましたが、私たち個人や家族などの小さい単位で “スマートシティ”化に参加する方法もあります。代表的なのが “スマートハウス”=スマートな“家”です。

スマートハウスとは、家の中のエネルギー消費を最適にコントロールした住宅のことです。ソーラーパネルを含む太陽光発電システムや電気を貯めておくための蓄電池、家電などをネットワークし、エネルギー消費を管理することで、CO2排出の削減を実現する省エネ住宅を指します。

スマートハウスは環境に優しいだけではありません。太陽光発電システムで発電した電力は、蓄電池に蓄えておき、必要に応じて電力を利用、余った電力を電力会社に売ることができます。また、家電とパソコンやスマートフォンの専用アプリを連動させることで、電力の利用状況を見える化し、節電を心がけることができるため、光熱費を削減したり、場合によっては余った電力を売ることで金銭的にプラスにすることもできます。

このスマートハウス、すでに住んでいる居住者からは、満足の声があがり始めています。株式会社リクルート住まいカンパニーが11月に実施した「2012年 注文住宅動向・トレンド調査」によると、スマートハウス居住者の91.2%が満足と回答。主な満足理由は、やはり「経済的メリットの実感」だといいます。

スマートシティ、お分かりになりましたでしょうか?“限りある資源を大切にしよう!”というかけ声だけで、実行に移そうというひとはまだまだ限られているかもしれません。しかし、“環境”“家計”“コミュニティ”みんなが嬉しい仕組みが構築できれば、スマートシティ化はもっと進んでいくでしょう。

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