太陽光発電は、何年で“もと”がとれるの?

太陽光発電における損益分岐点の試算は『初期購入価格』『メンテナンス費用』などの支出が、太陽光発電システム導入により『削減される光熱費』の何年分で相殺されるか、で計算できます。

簡単に式にすると(①初期購入費用+②メンテナンス費用)÷③年間の削減光熱費=償却年数

ただし、実際にはもう少し複雑な計算が必要です。ここでは、考え方を理解していただくための式だとお考えください。

①    初期費用

太陽光発電の初期費用は、太陽光発電システムの機器とその設置工事費となります。費用に関しては、太陽光発電の補助金を執行している「太陽光発電普及拡大センター」(J-PEC)のHPで情報開示されています。

この中に、太陽光発電の平均容量、平均価格が記載されています。ここでは、新築時の太陽光発電システムの値を使って計算します。

平均容量:4.17kW    平均システム価格:447,000円/kW

よって、4.17kWのシステム総額は約186万円になります。

2013年1月時点では上記システムの場合は、kW当たり35,000円の補助金が出ますので、ユーザーの自己負担額は約172万円となります。

②    メンテナンス費用

下記のようなメンテナンス費用が発生します。

メンテナンス費用

今回の計算では15年より短い期間で償却できることが分かっていますので、パワーコンディショナー交換は償却計算には含めず、売電メータ交換費用約3万円をメンテナンス費用とします。

結果、①初期購入費用+②メンテナンス費用は、約175万円となります。J-PECの平均値データを使って計算していますので、実際の費用は増減のばらつきが出ると考えてください。

③    年間の光熱費削減費用

年間の光熱費削減効果を計算するには

1. 年間の発電量がどれくらいあるか?

2. 発電量を金額に換算するといくらになるか?

の算定が必要です。それぞれについて説明します。

1.年間の発電量がどれくらいあるか?

同じ4.17kWの容量の太陽光発電システムを設置しても、地域や条件(南向き、西向き等)、屋根の形状、積雪・影の影響等で発電量は大きく変わります。日本全国では1kW容量のシステム当たりの年間850~1200kWh程度のばらつきが出ます。ここでは、1050kWh/年の発電量があるとして試算します。4.17kWのシステムでは、年間4378kWh発電する計算になります。

・こちらに地域ごとの発電量試算例がまとめられています。

<参考>地域ごとの発電量

(注)

・現在各メーカーで発売されているシステムはパワーコンディショナーの効率等がこの試算条件より良くなっているので発電量は増えます。

・積雪の影響は考慮されていませんので積雪地では実発電量は資料の値より低下します。
・地域でどれくらいばらつきが出るかの参考資料と考えてください。

2.発電量を金額に換算するといくらになるか?

発電量を金額に換算する場合、太陽光発電の固定価格買い取り制度の内容を理解していただく必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

<参考>買取価格・期間等

<ポイント>

・住宅用太陽光発電システム(容量10kW未満)の場合は、発電電力を自宅で使い(自家消費)、余剰電力を固定価格で買い取ってもらう(ユーザーから見ると売電)ことができます。

・売電単価は、設置より10年間は42円/kWhが確定しています(2013年1月時点)。この単価は変動があるが、設置時の単価は10年間維持されます。

・11年目以降の売電単価は決まっていません。

この条件で試算するのですが、当初10年間と11年目以降で条件が大きく変動しますので、2つに分けて計算します。

当初10年の経済効果

当初の10年間は自家消費した分は電力会社から購入する電力が抑制できる効果、2つの売電効果があります。表にまとめると以下のようになります。

当初10年の経済効果

自家消費分の経済効果は昼間の発電時間帯の電力単価で計算します。この単価は電力会社、ユーザーの電力契約の種類、消費電力量等の条件によって大きく変動します。ここでは代表的な値25円/kWhで計算しています。

ここでは、自家消費量を1500kWhとして計算しました。この値は自社で実邸調査を行った結果を参考にしています。実際には、小家族で昼間に省電力を徹底している場合、大家族で昼間の消費電力が多い場合等で大きな変動が出ます。調査結果では特異なケースを除いても1000~2300kWh程度の変動がありました。

1年間の経済効果は 概算で158,376円と計算できました。実際には10年間の間に、昼間の自家消費の単価25円/kWhはおそらく値上がり、システムの経年劣化があるので発電量は低下、等の条件変化が考えられますが、それらの影響は考慮せず10年間を一定として計算すると10年間の経済効果は約158万円となります。

11年目以降の経済効果(損益分岐点の計算)

10年経過した時点では175万円の支出に対して158万円の収益がありますが、まだ17万円が回収できていませんので、11年目からは残り17万円を回収する計算を行います。

(注)この計算では金利は無視しています。

この計算の条件設定が難しいのですが、ここでは以下のような考え方で計算します。

<考え方>

・システムの経年劣化はあるので、発電量はある程度減少します。

・11年目以降は売電の仕組み、単価が現段階では決まっていません。

・電力会社から購入する電力単価単価(自家消費単価)も現時点よりは高くなっている可能性が高いが単価は確定できません。

・売電単価・自家消費単価の差が縮まったり、単価が逆転する場合は、発電した電力を売電するよりも蓄電池、電気自動車などで自家消費したほうが有利になります。そのような技術開発、製品がすでに市場に出始めています。よって、自家消費、売電の比率も現状の割合を維持するとは限りません。

このように確定したものは何もありませんので現段階で一番使えそうな値、電力単価25円/kWhを使って計算します。

前提条件が曖昧ですので、概算にて計算すると下記表になります。

11年目以降の経済効果

この計算方法が正しいかどうかは現時点では分かりません。あくまで参考として考えてください。

償却期間を計算すると、10年目で償却残が17万円ありましたが、上記表の経済効果10万円/年を計算すると1.7年で償却できることになります。

よってこの試算では、11.7年が償却年数(損益分岐年数)となります。

11.7年目の損益分岐点突破以降は約10万円/年の利益が出ることになりますが、実際には15年目ごろにパワーコンディショナーの交換等が発生しますので、その費用分を相殺すると利益が出るのは14年目ごろになります。

<特記>

・この試算は多くの条件設定をもとに計算をしていますが、その条件は個々のユーザー毎に変わります。

・また、現時点では確定していない値を仮設定に使っています。ご自身で試算する場合の参考としてご活用ください。

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