移動手段だけじゃない、電気自動車の新たな役割

昨年1月、経済産業省は「蓄電池戦略プロジェクトチーム」を発足しました。このチームは、蓄電池を活用した電力需給対策をはじめ、今後の蓄電池市場の拡大・競争力強化、国際標準化を推進する事業を行なっています。節電の呼びかけが続く現在の状況において、蓄電池は電力需給の負荷を減らす対策、またスマート・グリッドにおける分散電源を促進するものとして、急速に拡大している市場です。

次世代自動車は「走る電源」の役割も果たす。

そもそも蓄電池とは、充電することで電気エネルギーを蓄え、必要に応じて電気エネルギーを取り出せる電池のこと。2次電池やバッテリー、充電式電池とも呼ばれます。現在実用化されている蓄電池にはNAS電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などがあります。

しかし、この蓄電池が何に使われているか、皆さんご存知でしょうか?実は、近年話題の電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車などの「次世代自動車」にも、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの蓄電池が使われているのです。

この次世代自動車とは、ガソリンの代わりに、蓄電池に充電された電気を使って走行する自動車のこと。ガソリンを使わないため、走行中に排気ガスを出すことがなく、ガソリン車と比較すると騒音や振動も少ないのが特徴です。

次世代自動車は、私たちの家計の節約、生活の安全にも有効です。蓄電池が使われているため、停電時のバックアップ対策や災害時の非常用電源にも活用できます。

まさに「走る電源」といっても過言ではない次世代自動車。それらが蓄積した電力を、家庭用電源として利用しようとする「Vehicle to Home(V2H)」の動きは今後進んでいくでしょう。

日産・リーフなら、一般家庭 約2日間分の電力を供給できる。

近年、これらの次世代自動車の生産・開発が急がれています。経済産業省の調べによると、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の新車販売台数は、自動車全体のわずか約0.4%(平成24年時点)。経産省はこの割合を、2020年時点で15~20%まで引き上げることを目指し、量産を支援して価格低減を進めていくそうです。

いま市場にはどのような次世代自動車が出回っているのか。販売されている車種を比較してみましょう。

車載用蓄電池の蓄電容量は、電気自動車ではテスラロードスター(US)の53kWhを筆頭に、日産・リーフの24kWh、三菱・アイミープの16kWhまたは10.5kWh、プラグインハイブリッド自動車ではトヨタ・プリウス・プラグインハイブリッドの4.4kWh、ハイブリッド自動車ではトヨタ・プリウスαの1.0kWh。

例えば、蓄電容量24kWhの日産・リーフを例に挙げると、満充電時であれば一般家庭が必要とする電力を、約2日間に渡って供給できるそう。ピークシフトや停電時の心強い備えになることがあらためて分かりますね。

しかし、それぞれの車種によって蓄電容量には大きな開きがあります。車載用蓄電池については、現在120〜200kmという航続距離の向上とコスト低減が求められているほか、電池の性能や品質向上・コスト低減に向けて、車載用蓄電池産業への活発な設備投資や研究開発が求められています。

生産プロセスの高速化や効率化や蓄電池の性能を向上する研究はもちろん、車を軽量化させる研究やエネルギー密度や燃費の面で、現在のリチウム電池の性能を大幅に超える「ポストリチウムイオン電池」の研究なども行われています。

蓄電池の改良とともに次世代自動車が普及するにつれ、V2Hの動きがどんどん拡大していくことを期待したいものです。

経済産業省 蓄電池戦略

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