「電気自動車」の歴史と課題・解決策

自動車業界にもエコブームが到来し、走行時にCO2や排ガスを出さない電気自動車が、近年続々と発売されるようになりました。皆さんの中には、“すでに電気自動車に乗っている”、もしくは、“次にクルマを買い替えるときには電気自動車”という方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、近年における電気自動車の歴史から、普及の状況、最新事情についてご紹介します。

2009〜2013年現在における電気自動車の歴史

電気自動車が本格的に量産されるようになったのは、三菱「アイミーブ(i-MiEV)」からと言われています。2009年7月からは法人向けに、2010年4月からは個人向けに販売がスタート。同年には比較的求めやすい価格の日産「リーフ」も発売され、初年度分の国内販売台数6,000台が予約で埋まるなど人気を博しました。この年、2010年は、電気自動車の量産化が始まるなど、普及が開始したことから、「電気自動車元年」として、自動車業界の歴史に残る年となりました。

2011年以降になると、GMやトヨタ自動車、フォードなど大手各社がこぞって、電気自動車販売へと参入するようになりました。この頃から電気自動車のモデル数や販売台数は、着実に増え始めました。またこの年は、電気自動車の大容量・高性能バッテリーが、家庭用電源としても利用され始めた年でもあります。日産自動車は同年7月、「リーフ」のリチウムイオン電池の蓄電容量(当時24kWh)で、一般家庭の2日分の電力を賄えると発表しました。メディア各社でも「震災後で非常用電源としてのニーズは高まっている」と報じられ、電気自動車の技術的な革新を印象づけました。

そして今年、2013年には、スポーティなデザインで話題の三菱「日産ニューモビリティコンセプト(Nissan New Mobility Concept)」や、「第83回ジュネーブ国際モーターショー」でも注目を集めたトヨタ自動車「i-ROAD」など、近距離移動や少人数乗車を想定した小型の電気自動車が目立つようになりました。より“いま”のユーザーニーズに対応しようとする、電気自動車の進化のあらわれといえるでしょう。

目標販売台数の到達はすこし難しい?

しかし、国内の電気自動車の売れ行きは、当初の計画を下回る数字となっています。2009年5月に、環境省が策定された構想「次世代自動車普及戦略」では、2020年までに200万台の普及目標が掲げられました。

それに対し2011年度末の時点では、電気自動車のみで17,897台、ハイブリッド車などをあわせた合計台数でも653,687台一般社団法人 次世代自動車振興センター「電気自動車等販売台数統計」平成23年データより)にとどまっています。

日産自動車‐Renaultグループも、2011年に独自に「2016年度までに累計150万台のEVを普及させる」という計画を掲げています。2013年7月時点では、同グループの累計販売台数は10万台を超えていますが、目標到達まではもう少し時間がかかるのではと囁かれています。

2005〜2012年までの電気自動車の保有台数推移(自動車情報センター公式ウェブサイトより)

2005〜2012年までの電気自動車の保有台数推移(自動車情報センター公式ウェブサイトより)

航続距離、インフラ整備….. 普及に向けた課題

なぜ、電気自動車の普及は思ったほど進んでいないのでしょうか。その背景にはまず、1度の充電での航続距離がやや短いことや、毎日充電しなくてはならないこと、充電所のインフラ整備があまり進んでいないことなど、「充電に関するクルマ本体」「インフラ面」という2つの側面で課題を抱えているからです。

まずクルマ本体では、例えば日産「リーフ」の場合、運転方法や気象・渋滞などの使用環境などで異なりますが、航続距離は現在228km(JC08モードの場合)。一方で、充電に必要な時間は約8時間(バッテリー残量警告灯が点灯した時点から満充電までの目安数値)と長時間に渡ります。クルマは普段遣いだという人にとって、長い充電時間は不便に感じるかもしれません。

次にインフラ面では、充電所を維持するための採算が合うほどの電気自動車が普及していないため充電所が整備されていない、という問題があります。電気自動車の普及の遅れと、充電所のインフラ整備が関わる課題は、まさに表裏一体といえるでしょう。

街の充電所は自動車販売店やコインパーキング、ショッピングモール、コンビニなどにメーカー各社が設置していますが、1基数百万円ともいわれる高額な費用がかかるため、公共施設などへの設置は進みづらい状況です。量産車が発売されてからおよそ4年経つ現在でも、数十分でフル充電できる急速充電器は全国に約1,700基、数時間かかる普通充電器が3,000基にとどまっています。

近年、ガソリン価格の高騰に関するニュースが相次ぎ、電気自動車へのシフトが進んでいるかのように思われますが、現状はガソリン車のほうが電気自動車よりも、圧倒的にスタンドの数が多く利便性が高いのも事実。

そのような現状に対して、問題意識を持つトヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど大手自動車メーカーは、電気自動車の普及のため、共同で充電器の設置促進に乗り出すことを発表しました。設置費用の一部を各社で負担し、急速充電器は現在の倍に、普通充電器は2.5倍以上に増やすことを目標に掲げ、各社で連携して市場の底上げを図ろうとしています。

またクルマ本体についても、日々改善が行われています。たとえば日産「リーフ」では、2012年にメーターの変更や軽量化などが行われました。また、メカニズムを変更することで、航続距離を前モデルより14%アップも伸ばし、228kmにすることにも成功しています。

スマートシティー化には欠かせない電気自動車普及の鍵を握る、航続距離の延長やインフラ整備。消費者としては、これらの課題解決のための施策の動向にこれからも注目しつつ電気自動車の購入を検討したいところです。

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