HEMSによる全国初の行政サービスとは?

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)は、家庭における家電製品などを、ITC(情報通信技術)を使ってネットワーク化するシステムで、最近、一部の家庭で普及し始めています。HEMSで電気消費量を「見える化」するため、エアコンやテレビ、電気冷蔵庫などの使用状況が一目で分かります。季節や時間帯、家族の人数などに応じて、最適な使用を自動的に実現してくれるものです。

HEMSで家庭の属性・特徴に応じた行政サービスが受けられる

このHEMS、エネルギー・電気の使用状況の最適化を図るだけはありません。HEMSを活用することで、地域の行政情報や行政サービスの提供を受けられるという、全国でも初めての試みが具体化しています。家に居ながらにして行政から、情報・サービスの提供を受けられるというわけです。

この試みに取り組んでいるのは、埼玉県です。(株)大和総研ビジネス・イノベーション(大和総研BI)と協働で、同県が推進する「埼玉エコタウンプロジェクト」の一つとして、実証事業を進めています。事業対象地域は、東村山市の約400世帯。埼玉エコタウンプロジェクトは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを中心とした「創エネ」と、徹底した「省エネ」を、市町村全体で取り組むことにより、エネルギーの「地産地消」を実現するモデルづくりを進め、全国に発信していくプロジェクトです。

今回の行政情報・サービス提供の試みは、HEMSを活用することによって、家庭ごとの家族構成や属性、特徴などを分析し、それらに応じた情報・サービスを効率的に提供していくのが目的です。都道府県や市町村などの自治体の情報・サービスの提供は、一般的には広報紙などによる「お知らせ」や、窓口でのパンフレット、リーフレット、あるいはインターネットでの提供が中心です。うした情報・サービスは、地域住民全体を対象とすることから、どうしても総花的、網羅的にならざるを得ません。HEMSを活用した情報・サービスの提供は、家庭の属性、特徴に応じた内容を、対象となる家庭を絞って、タイムリーに、しかもより効果的に届ける点に特徴があります。

HEMSには、家電製品だけでなく、太陽光発電設備、電気自動車などの利用状況のデータが、詳細に記録されます。これらのデータを集めることによって、それぞれの家庭の属性、特徴に応じた使用パターンが、類型化されるのです。例えば、夫婦二人の共働きの家庭では、家電製品の電気使用量は、朝と夕方に多く、日中はほとんどゼロの状態です。一人暮らしの高齢者の場合は、冬の早朝のエアコン消費量が多いなどの特徴があります。子育ての専業主婦の場合は、日中のテレビ、エアコンの消費量が多いなどのパターンが見られます。そうした使用状況の分析から、家族の属性などが分かるのです。

こんな活用の仕方も

行政側としては、子育て世帯には、保育所情報をタイムリーに提供したり、高齢者世帯には医療・介護情報を選択して提供したりすることができます。一人暮らしの高齢者の場合は、電気使用状況による暮らしぶりの「見守りサービス」も提供できます。このほか、防犯情報や商店街情報などを、家庭の属性ごとに、提供していきます。こうした選択的な情報提供により、行政の効率化も期待できます。HEMSは、電気・エネルギーだけでなく、私たちの生活の中で、幅広い、多角的な活用が広がりそうです。

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