「ソーラーシェアリング」って、どんな仕組み? 最近、ソーラーシェアリングという言葉をよく耳にします。「カーシェアリング」「ワークシェアリング」という言葉は、大分耳になじんできましたが、「太陽を共有する」、と言われてもまだピンときません。

ソーラーシェアリングは、今年4月、農林水産省が太陽光発電に対する農地転用許可制度の新たな取扱いをまとめたため、最近クローズアップされるようになった取り組みです。一言でいえば、条件つきであれば、農地での太陽光発電設備の設置を認める、というものです。

農地は従来、おコメや野菜などを作るための土地で、「それ以外の用途に転用してはいけない」というのが、農林水産省の考え方でした。一定の食料自給率を確保するという農業政策の基本に基づくものです。しかし、近年、農産物の自由化やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加などで、農業経営は転機を迎えています。そこで考えられている対策の一つが、再生可能エネルギーの導入によって、経営基盤を強化しようというものです。

新しい太陽光発電システム、「藤棚方式」とは

この一環で農地転用許可制度の新たな取扱いという施策が登場しました。この施策は、「営農と太陽光発電の共存」を図るという点に重きを置いています。

農地に太陽光発電パネルを敷き詰めたのでは作物は育ちませんが、最近、「藤棚方式」と呼ばれる、新しい太陽光発電システムが考えられています。それは、太陽光発電パネルを、地上に設置するのではなく、藤棚のように支柱を立て、地上から少し高いところに、隙間を開けながら取り付ける方法です。

この方法だと、農地で作物を成育しながら、太陽光発電も可能になる、というわけです。太陽光を作物と発電の両方で共有するところから、ソーラーシェアリングという言葉が広まりました。

とはいえ、パネルの隙間からの弱い太陽光線で、果たして作物が育つのでしょうか。これについて専門家は、「植物の光合成には、光飽和点というのがあり、光量が一定量を超すとそれ以上光合成が進まなくなる。光飽和点のレベルは作物の種類によって、異なるが、太陽光は、弱すぎても、強すぎても、作物は育たない」と指摘しています。つまり、パネルの間隔を調節して作物に適した光量を与えさえすれば、問題なく作物は育つというわけです。

ソーラーシェアリングが登場したのは、農家の経営強化のためだけではありません。これまでの住宅用中心の太陽光発電では、その導入に限界があるとされているからです。

農地の利用で太陽光発電の可能性は拡大?

国内の一戸建て住宅の総数は約2700万戸ですが、そのうち、日照や耐震性などの点で太陽光発電を導入できるのは、約半分の1200万戸といわれます。仮にそのすべてに太陽光発電システムを設置したとしても、火力発電設備の発電量には遠く及びません。

住宅地は日本の国土の5%にすぎません。これに対して、農地は12%です。その広い農地を活用できれば、メガソーラー(大規模太陽光発電)などの方法で、太陽光発電は飛躍的に拡大する、といわれています。ソーラーシェアリングは、太陽光発電拡大の突破口を開く可能性を秘めています。

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