マンションで大活躍するEV(電気自動車)

EV(Electric Car)、電気自動車はCO2を排出しないクリーンカーとして普及し始めています。しかし値段がまだ高く、どの家庭でも、というわけにはいきません。そのような中、横浜市が、マンションにおける住民の足として、普段はEVのカーシェアリング(共同利用)サービスを行いながら、非常時や災害時には、EVのバッテリー(蓄電池)をマンションの電源や給水、トイレ用水の供給などとして活用する、全国でもめずらしい試みに挑戦しています。EVが、マンションで一人何役もの大活躍をする取組です。

EVは、スマートハウス(ICT=情報通信技術を活用した高機能住宅)と連係して、太陽光発電の蓄電池の役割が期待されています。しかし、EVのそうした多用途活用には、家庭におけるHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入が前提になり、普及はもう少し先になる見通しです。

横浜ですでに実施されているEV活用

横浜市の取り組みは、マンション各戸に新たなシステムを導入することなく、EVの利便性を高めようというものです。この取組は、国が推進している「環境未来都市先導モデル事業」である「横浜グリーンバレー構想(電気自動車の利活用促進事業)」の一つとして実施されている事業です。

事業は、横浜市神奈川区片倉の民間新築分譲マンション「シティハウス横濱片倉町ステーションコート」と、金沢区柴町にある横浜市住宅供給公社の「シーブリーズ」の二か所で実施されています。

「シティハウス横濱片倉町ステーションコート」の取り組み

「シティハウス横濱片倉町ステーションコート」は、地上7階建て、総戸数112戸のマンションで、住友不動産(株)が、水環境ソリューションビジネスなどを展開する(株)オアシスソリューションと提携して実施しています。高層マンションでは、通常、停電時に備えて、重油などによる非常用発電機を設置していますが、今回の取組では、平常時にマンション居住者向けに行われているカーシェアリングサービスのEV蓄電池を、非常時には給水システムの電源として活用します。そのため、システム導入費用は比較的安くあがるようです。

給水システムでは、敷地内に設けた貯水タンクの水を非常用給水ポンプにより揚水し、マンションの1、3、6階の共用廊下に設けた蛇口より、給水を行います。居住者は、各自が、バケツなどで住戸へ運び使用しますが、主にトイレ排水用としての使用を想定しています。貯水タンクの水は、平常時には清掃などに利用。非常用の飲料水は別途、マンション内の倉庫に2リットルのペットボトル1050本を備蓄しています。

横浜市住宅供給公社「シーブリーズ」の取り組み

横浜市住宅供給公社の「シーブリーズ」の取り組みは、電力の見える化プロジェクトと、災害時の給水プロジェクト、2つの事業です。電力見える化プロジェクトは、公社が、(株)オアシスソリューション、関東三菱自動車販売(株)、東洋電機製造(株)の各企業及び国立大学法人東京海洋大学の、いわゆる産・学・官の連携で取り組んでいます。同プロジェクトでは、家庭のパソコン、スマートフォンから各戸の電力使用量やカーシェアリングのEV電気消費量が一目で分かり、節電行動の促進に役立ちます。災害時の給水プロジェクトは、シティハウス横濱片倉町ステーションコートとほぼ同様のシステムです。カーシェアリングEVの蓄電池を活用して、災害時に対策本部となる集会所にまで給水できるシステムで、トイレをはじめとした生活用水の給水が可能です。

電気自動車の普及は、環境にやさしい車としてだけでなく、新しい電源としての役割をも高めてくれそうです。

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