ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を実現する最先端住宅の技術

経済産業省の資源エネルギー庁が提唱するゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)。消費する電力量を発電する電力量で相殺する住宅のことを指します。この記事では、ZEHに関する基礎知識から、ZEHが注目されている社会的な背景、最新技術についてご紹介します。

「ゼロ・エネルギー・ハウス」とは

ZEHは住まいのエネルギーを消費しながら、同時にエネルギーを作り出すことで、エネルギーの消費・発生を相殺してゼロまたはプラスにする住まいのことを指します。

国土交通省「図表71 ゼロ・エネルギー住宅のイメージ」より

国土交通省「図表71 ゼロ・エネルギー住宅のイメージ」より

具体的には、昼間に太陽光発電や風力発電などで電気を創り出し、余剰分を電力会社に売電し、夜間や雨の日などに電力会社から不足した電力を買うことで、住まいにかかる電気代をトータルでゼロまたはプラスにするという考え方です。

ZEHが注目されるようになった背景には、地球温暖化ガスの排出量削減が世界的な課題となっている現状があります。住宅の省エネルギー化は最重要課題のひとつとして位置づけられています。とくに日本においては東日本大震災が起きたことも、低炭素・循環型のエネルギー消費社会に転換していこうとする動きにつながっています。

国は2020年までに標準的な新築住宅をゼロ・エネルギー化することを目指しています。環境共生住宅推進協議会による「平成25年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」では、家を建てる人向けに一戸あたり最大350万円までの補助制度も用意されました。

積水化学工業「スマート・パワーステーション」

ここからは、住宅メーカー各社が取り組むZEHについてご紹介します。積水化学工業では「スマート・パワーステーション」を提供しています。

スマート・パワーステーションでは、創エネ=大容量の太陽光発電システム、省エネ=HEMS「スマートハイム・ナビ」、蓄エネ=蓄電システム「e-Pocket」の3点セットのすべてを進化させたことが大きな特徴です。

積水化学工業株式会社「“未来基準の家”がさらに進化 『スマート・パワーステーション』シリーズを発売」より

積水化学工業株式会社「“未来基準の家”がさらに進化 『スマート・パワーステーション』シリーズを発売」より

太陽光発電については、新たに開発された「PV一体型屋根」「ロング庇」により、114平米〜の住宅においても、10kWh以上もの大容量PVを搭載できるようになり、住まいのエネルギー収支ゼロを目指せるようになりました。

HEMSについては、エネルギー需給の「見える化」機能はもちろん、独自の空調システム「快適エアリー」の省エネ性能を向上させ、さらに部屋ごとに人がいるかどうかをセンサーで自動検知・制御する機能が追加されました。これにより年間約17,500円程度の光熱費を削減することができます。

蓄電システムについては、蓄電容量はそのままでサイズがコンパクト化され、屋内に設置できるようになりました。室内に置けることでシステムの耐久性が改善された結果、蓄電池の保証期間は15年に延長され、入居後のメンテナンスコストの削減につながっています。

「芦屋・草津のスマートシティ」

2013年9月から、兵庫県芦屋市と滋賀県草津市でZEHを実現する「街」の販売が開始されています。兵庫県芦屋市の取り組みでは、大阪湾に面した埋め立て地を広域で開発しています。すでに分譲開始された第1街区(83戸のマンション)をあわせて、2019年には400戸の戸建住宅とマンションからなる街が完成する予定です。

特徴は、一戸あたりの発電量が多い戸建住宅とマンションを組み合わせた街全体でゼロ・エネルギーを実現すること。これから開発される戸建住宅のエネルギー収支は100%を超える予定です。一方、マンションでも全83戸にエネファーム(燃料電池システム)、屋上部分に太陽電池モジュールを56Kw分設置することで、マンション全体の年間消費電力量197MWhに対して、199MWhを発電でまかないます。

草津市の取り組みでは、全87戸の分譲住宅の全戸がオール電化住宅で太陽光発電システムとHEMSを使ってエネルギーを管理することが特徴です。街全体の消費エネルギー4680GJ/年を大きく上回る5640GJ/年のエネルギーを創り出します。

「スマ・エコタウン」

3月から販売開始されているスマートタウン「スマ・エコ タウン晴美台」は、全65戸に家庭用リチウムイオン蓄電池やエネルギーマネジメントシステム「D-HEMS II」、太陽光発電システムを搭載したほか、街単位でのエネルギーの見える化を実現し、集会場の屋根や地下式の調整池の上にも太陽光発電システムを設置していることが特徴です。

さらに、団地管理組合を法人化し、管理費以外にも共用部太陽光発電売電料、カーシェアリング利用料などの事業収入を確保したり、エネルギー管理や景観、防犯、防災などのタウンマネジメント活動をしています。

各社でさまざまな取り組みがスタートしているZEH。今後のさらなる展開に注目です。

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